私たちが現在の日本の生活水準を維持するには、2024年現在で地球約2.7個分※の資源が必要だと言われており、持続可能な社会の実現に向けた取り組みは待ったなしの状況となっています。廃棄物を単に"捨てる"時代は終わり、使い終わったもの(廃棄物)の循環利用を前提とする社会に向け、高度な資源循環システムの構築が今まさに求められているのです。

こうした社会的要請に応えるべく、当社は廃棄物処理・再資源化における豊富な知見を活かし、千葉県市原市、福島県相馬市において大規模かつ効率的な資源の循環利用を目指す事業スキーム「環境複合事業」を展開しています。千葉県市原市では「TRE環境複合事業」構想として、産業廃棄物の破砕・選別・再資源化、廃棄物焼却・発電、金属資源の高度選別、廃プラスチックの高度リサイクルという4つの事業を推進しています。

出典:グローバル・フットプリント・ネットワーク

市原における「TRE環境複合事業」の概要

TRE環境複合事業の事業用地の一部

当社は市原市に約84,000㎡の用地を賃借し、既存事業用地の37,000㎡と合わせた広大な用地にて「TRE環境複合事業」構想を具体化すべく準備を進めています。総投資額は約300億円、本格稼働後は年間売上高120億円、新規雇用150名を予定するなど、事業活動を通じて市原市の地域経済活性化にも貢献していきます。

この環境複合事業では、以下の4つの事業が有機的に連携することで、資源循環の最大化と環境負荷の最小化を同時に実現します。

産業廃棄物破砕選別・再資源化事業

大規模な中間処理設備を導入し、産業廃棄物の破砕・高度選別を行い、可能な限り再資源化を推進します。また、資源化の難しいものはRPF(固形燃料)化し、建設系廃棄物由来の木質チップと共にグループ内の発電施設の燃料として活用する「サーマルリカバリー」により廃棄物の価値を最大化します。さらに、廃棄物焼却施設との連携も予定しており、より効率的な資源利用の実現に向けて計画しています。

RPF(固形燃料)

廃棄物焼却・発電事業

日立造船株式会社(現:カナデビア株式会社)との合弁事業(※)として、グループ初となる廃棄物焼却・発電プラントを運営します。廃棄物処理能力は330トン/日を予定し、そのうち200tはこれまで外部委託していた建設系可燃物を内製化することで収益向上を目指します。また、焼却時に発生する余熱を有効利用して約10MWの発電を行い、地域の安定電源としても重要な役割を果たしていきます。さらに将来的にはCO2回収技術であるCCU/CCUSの導入を検討します。

事業主体は合弁会社の(株)T&Hエコみらい

金属資源高度選別事業

使用済自動車や家電リサイクルにおいては、選別工程において金属資源を十分に回収できていない状況があります。そこで本事業では、リバーの南関東に位置するシュレッダー工場(市原事業所)の破砕工程で発生するシュレッダーダスト(残渣物)とASRダスト(使用済自動車の破砕残渣)を母材とし、新設予定の市原ソーティングセンター(仮称)にて高度選別を行うことで有用金属の回収率をさらに高め、グループとしての収益向上と再資源化率向上を同時に実現させます。

廃プラスチック高度選別・再商品化事業

プラスチック資源循環促進法施行を踏まえ、あらゆるニーズに対応できる高度選別設備を整備します。自治体との緊密な連携や素材メーカーとの協力により、幅広い廃プラスチックを効率的に回収・再資源化する包括的な仕組みを構築しています。再資源化が難しいものについてもRPF化やサーマルリカバリーにより、廃棄物の無駄を最小化する徹底した取り組みを行います。

既存事業との連携 〜複合事業の鍵を握る、国内最大級の木質バイオマス発電とリサイクル工場〜

これら4事業の基盤として、すでに市原市内で稼働している2つの既存事業所が重要な役割を果たします。1つは市原グリーン電力株式会社による木質バイオマス発電所です。建設系廃棄物の木くずを燃料とする発電所としては首都圏最大級である約49MWの発電出力を誇り、年間に木質チップを約20万トンと5万トンのRPFを燃料として発電しています。

木質チップには、首都圏の建設・解体工事において発生する木くずや、地元農家から排出される梨の木の剪定枝などを含みます。これに、建設系産業廃棄物のプラスチックや紙類から製造したRPFを組み合わせることで、発電に必要な燃料を安定的に確保しつつ、CO2排出を抑えた持続可能なエネルギー供給を実現しているのです。

もう1つが、TREグループ最大のリサイクル工場であるリバー市原事業所です。同事業所は、3500馬力の大型破砕機を所有し国内有数の処理能力を誇ります。ここで回収されたミックスメタルなどの複合素材は、グループ内の選別ラインへシームレスにつなげることで効率的な再資源化スキームを構築しています。

リバー市原事業所

タケエイが長年培ってきた産業廃棄物処理や木質バイオマス発電の専門知識と、リバーの金属リサイクルや使用済み製品の解体技術を「環境複合事業」として結びつけることで、「解体 → 選別 → 再資源化 → 発電」までの工程をシームレスに完結させることが可能になったのです。

循環型社会を、次なるステップへ。

当社の挑戦はこれにとどまりません。今後は、廃棄物焼却発電にCO2回収技術を取り入れたCCU/CCUSの実用化や、水素・アンモニアなどの新たなエネルギー源の積極的な活用も視野に入れています。さらに当社では、市原市と教育委員会・臨海部企業が連携する「サーキュラーエコノミー普及促進事業」にも積極的に参画し、次世代を担う人材育成と地域社会の持続的な発展に貢献しています。"廃棄物の最適処理"をさらに広い視点から捉え、循環経済全体を牽引するリーディングカンパニーとして、常に新たな事業展開を模索し続けているのです。

当社の環境複合事業は、私たちの未来に向けた確かな第一歩です。これからも当社はサーキュラーエコノミーの次なるスタンダードとして、多くの企業や自治体との連携を通じて、「WX(Waste Transformation)」の実現に挑戦し続けていきます。 

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