未来を見据えた太陽光パネルリサイクルへの挑戦
再生可能エネルギーへの関心の高まりや固定価格買取制度(FIT)導入の背景もあり、太陽光発電は急速に拡大してきました。一方、太陽光パネルの一般的な寿命は25~30年ほどとされ、2030年頃からは大量の廃棄・交換が見込まれ、その対応が課題となっています。また、近年は自然災害によって大量の使えなくなった太陽光パネルが発生し、その適正処理・リサイクルも課題となっています。
これまでの太陽光パネルの処理方法は埋立が主流でしたが、太陽光パネルの大量廃棄を見越して、当社はこの課題に早くから着目し、具体的なリサイクル事業を展開しています。
本記事では、当社グループにおける太陽光パネルのリユース・リサイクル事業と、その社会的意義をご紹介していきます。
太陽光パネルはリユースに
当社グループにおける太陽光パネルのリサイクル事業は、2022年1月から㈱信州タケエイ(長野県諏訪市)にて開始しています。様々な処理設備・方法がある中で、信州タケエイでは、「油圧式フレーム外し機」「手動式カバーガラス剥離装置」を導入。アルミフレーム枠を取り外し、ガラスは粉砕分離して、パネルに多く含まれる金属原料やガラス原料を回収することで、資源の有効活用を推進しています。
- 油圧式フレーム外し機
- ガラス剥離の様子
まだ使える太陽光パネルはリユースに
リサイクル事業を進める中、信州タケエイでは長野県環境部と協議のもと廃棄物として中間処理施設に搬入された太陽光パネルのうち、検査に合格したものをリユース品として販売する事業を2023年に開始しました。
従来、太陽光パネルを再利用する場合は、外観や性能検査を実施して、廃棄物として処分する前にリユース可能と判別されたものに限られており、廃棄物として中間処理施設に搬入された太陽光パネルについては、そのままの形状でリユース品として販売することは困難でした。
信州タケエイでは、「太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン」(環境省)に基づいて、パネル表面の損傷具合や発電効率を簡易検査機器で測定し、リユースの可否を判別。一定の基準をクリアして再利用可能な太陽光パネルを、リユース専門の販売業者や自家使用を希望する顧客に提供しています。
太陽光パネルをリサイクルすることはもとより、このリユース品販売の運用を確立・継続することで、今後大量廃棄が予想される太陽光パネルを可能な限り、資源循環につなげることに大きく貢献していきます。
「相馬サーキュラーパーク構想」と未来への展望
太陽光パネルのリサイクル事業は、当社が福島県相馬市で進めている「相馬サーキュラーパーク構想」においても、主要な事業の一つです。「相馬サーキュラーパーク構想」は、TREグループが培ってきた再資源化技術を一層高度化した総合リサイクルプラント構想であり、動脈・静脈産業の枠組みを超え、地域企業や大学との連携により、エネルギー及び産業資源の地産地消モデルの構築を目指しています。
- アルミ枠外し機
- ガラス分離機
相馬サーキュラーパーク構想においては、太陽光パネルの処理に信州タケエイとは異なる株式会社千代田マシナリー製「PVリサイクルハンマー」を採用。破砕剥離したパネルの表面ガラスは、色彩選別機によって高品質なガラスカレットへの選別も可能です。色彩選別機によるガラス選別は、不純物の混入を最小限に抑え、リサイクルガラスの品質を高める重要な工程です。また、廃パネルの状態によってリユース販売も視野に入れることで、環境への負荷の低減も目指します。
太陽光パネルを、未来の資源に。
TREグループは、太陽光発電の普及に伴って、遠くない将来に大量の廃太陽光パネルが発生することを見越し、環境負荷を最小限に抑えながら、この課題に対応する方法をいち早く模索しはじめました。資源の有効活用と廃棄物の削減を同時に実現するためには、廃棄物をただ処理するのではなく、再び資源として活用する道を切り拓き、まだ十分使えるものはそのままの形で使用できる環境を整えていく必要があります。
グループ企業であるTREガラス㈱(東京都江東区)のリサイクル技術を組み合わせることで、ガラス素材の回収率や品質の向上も可能になります。こうしたグループシナジーも、今後の太陽光パネルのリサイクルに活用していきます。さらに、蓄積したリサイクル・リユースのノウハウをパネルメーカーにフィードバックしつつ、適切な廃棄を促す法整備の必要性(個別リサイクル法の適用など)を行政に提言し、太陽光パネルのリユース・リサイクルの望ましいあり方を追求していくことも視野に入れています。
太陽光パネルのリユース・リサイクル事業は、再生可能エネルギーの持続可能性を支え、高度循環型社会の実現につながる取り組みです。
「廃棄されるものを新たな価値に変換する」──WXを体現する静脈産業のリーディングカンパニーとして、当社はこれからも高度循環型社会並びに脱炭素社会の実現に挑戦し続けていきます。